子育てとおしゃれの不都合な関係

 出産と言う大仕事を終え、赤ちゃんを連れて自宅に帰ってきた時、私は途方にくれました。今日からは看護師さんや助産師さんに頼れない。目を離すと死んでしまいそうな命をなんとか守らないといけない。

 

目の前の新生児は、私が全然知らない生き物に見えました。よく考えたら私が知っている「赤ちゃん」はもう少し生まれてから時間が経った姿であって、こんなに生まれたばかりの状態を目にする機会なんて今までなかったのです。

 

そこからしばらく、育児は24時間体制。絶え間なく授乳して、ミルクをあげ、ゲップをさせて、オムツを変え、昼夜構わず泣く娘を抱っこして、暗い部屋をぐるぐる歩き回る日々。 子供が寝ると何とか起こさないように息を潜めていました。「赤ちゃんは1日のほとんどを寝て過ごします」なんて誰が言ったんだ。

2人目、3人目だと兄弟の生活もあるのでもう少し違うのでしょうが、初めてのことすぎていっぱいいっぱい。

 

自分のことは後回しで、一日中パジャマで家の中で過ごすような生活でした。おしゃれどころじゃない。

たまに暗闇の中で鏡に映った自分の顔をふと見ると、なんか年とったな・・と思ったものでした。髪の毛抜けるし。出産って本当に身を削ってる。

そりゃそうだよね、サケだったら死んでるわ。

 

しばらくして子供が自分で動くようになると、今度は家の中が荒れ放題。なぜか玄関にスプーンが、リビングに靴が落ちている。

トースターの中にワイヤレスマウスが入っていたこともありました(こんな事もあろうかと電源コードは抜いていた)

 

優雅におしゃれをして、ベビーカーに子供を乗せてデパートに行くママさんも世の中には存在しますが、あれ凄すぎないですか?!

子供を連れて身支度をして出かけることのハードルが高すぎて、そこまでして外に出なくても良くない??って、家を出る前から疲れてしまう。

 

更に大きくなって公園デビューをする頃には、自分はいつでも公園を走れるようにスニーカー、汚れたベンチに座ってもいいジーンズ、大量の荷物を入れて両手が空くリュック、食べこぼしや泥汚れを恐れない黒い服、と子供優先・機能重視の完全装備に。

 

そうこうしているうちに、もはや痛いヒールをだましだまし履くなんてありえない事に思えてくるし、ワイヤー入りのブラも苦しすぎて無理。おしゃれは我慢!は過去のものに。

 

でもでも、子供はめちゃくちゃ可愛いのです。自分の中の優先順位がバシャンと変わったのです。それぐらい子供ができる前と後で価値観は変わる。

 

それでも、子供はいつか自立します。洋服選びも、レストラン選びも、仕事選びだって子供優先で生きているうちに、自分の欲望が枯渇して、自分が何を望んでいるのかわからなくなるようじゃ、からっぽになってしまう。

 

お母さんだって、好きに生きましょう。自分の声に耳を傾けて、自分を大事にしてあげよう。

 

あーおしゃれしたい。自分を着飾ってあげることは、自分を大事にしてあげることに繋がると思うのです。モテとか、女子会とか、職場の人の視点とかもうどうだって良いんです。

母は強し。いつの間にか押しも押されぬアラフォーになりました。

今こそ自分のためのおしゃれをしよう。

 

自分のために自分を綺麗にして、テンション上げていく自家発電をしよう。

そうだ、おしゃれしよう。